新しい福祉の形となるのか

介護医療院は近年新しく創設された福祉施設の一つの在り方です。これまでの医療は病院を中心として行われてきましたが、一般的には長くても三か月を目安に退院することが患者に求められています。それ以上の加療が必要な場合には他の病院に転院して、さらなる治療や社会復帰に向けたリハビリテーションなどを受けて退院するというスタイルです。介護医療院は主として高齢者を対象としており、医療と介護の両面のニーズを抱えている患者を長期的にケアできるシステムとなっています。

社会の高齢化に伴い、このような新しいシステムの導入は必要なことです。始まったばかりですので、今後どのような課題が生じて来るかはわかりませんが、病院と介護福祉施設との中間に位置することになった介護医療院は、その存在の意義のバランスが求められてきます。長期間滞在できるからといって、治療と介護のどちらかの比重が大きくなってきたときには、それぞれ専門の施設に転院するようコーディネートすることが重要になってくるでしょう。そのままにしておくと名称が変わっただけで、病院ではない介護医療院が次第に老人ホーム化して行く可能性が懸念されます。看護職と介護職のスタッフ同士の連携も重要です。役割の違いを互いに把握しながら、患者を中心としたケアが適切に行われ、看取りやターミナルケアによって豊かな人生の終末期を迎えることを可能にします。患者にとっては生活の場でもあるので、入居のスタイルも部屋の人数などに工夫が必要です。